Freeword: "hinokitiol"
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   メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対するヒノキチオールの抗菌活性
岡部敏弘,斉藤幸司,福井 徹,飯沼和三 : 木材学会誌 40(11), 1233-1238 (1994) [一般論文]

 難治性院内感染の病原菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対するヒノキチオールの殺菌効果を調べた。日本化学療法学会法に準じて抗菌試験を行ったところ, MRSA, MSSAともに100μg/mlで発育阻止効果を示した。
 MRSAに対するヒノキチオールの作用はタンパク質の変性作用が中心であると考えられるが,ディスク法による抗菌試験で三重リングを生じること,また,ヒノキチオールを含む液体培地中でのMRSA生存試験において,生菌数が減少していく過程の途中で増殖する場合があることから,高濃度の場合と低濃度の場合で作用機序が異なると考えられる。そこで,位相差顕微鏡によりヒノキチオールが菌体に作用する状況を調べたが,グラム陰性桿菌である大腸菌では,菌体の破裂や菌体内に明瞭な凝集塊が生じた様子が観測されたものの,グラム陽性菌であるMRSAでは菌体の膨張以外は観測されなかった。
 ヒノキチオール単体は光又は酸素によって分解されやすいため,金属と反応させて持続性を持たせる検討を行ったところ, 中心金属の選択によって大きく抗菌力が変化することを見いだした。


   超臨界二酸化炭素によるヒバ材からのヒノキチオールの効率的抽出(英文)
大平辰朗,谷田貝光克,糸屋吉彦,中村松三 : 木材学会誌 42(10), 1006-1012 (1996) [一般論文]

 生育地点の異なる青森ヒバ(T. dolabrata)材中に含まれているヒノキチオールの定量を行った。定量は,ヒノキチオールと三フッ化ホウ素を反応させて得られるニフッ化ホウ素錯体をHPLCによって測定する方法で行った。生育地点により,含有率が異なり,金木地方の心材部が最も含有率が高かった。ヒノキチオールの抽出選択性は超臨界二酸化炭素抽出による場合が高く,材から抽出される収率はメタノール抽出の場合が最も高かった。また,材から抽出されるヒノキチオールの収率に及ぼすエントレーナー効果は少ないことがわかった。抽出選択性の高さ,残留毒性等の抽出特性を考慮すると, 超臨界二酸化炭素抽出法が最も優れた方法であると考えられた。


   メチシリン耐性黄色プトウ球菌(MRSA)に対するヒノキチオールの抗菌活性(第2報)医療環境消毒への適用
斎藤幸司,岡部敏弘,福井 徹,稲森善彦 : 木材学会誌 43(10), 882-891 (1997) [一般論文]

 院内感染予防のため,清掃時におけるヒノキチオールナトリウム塩の使用を検討した。ヒノキチオールナトリウム塩とポビドンヨードとの併用を検討した結果,菌数が一時的に増加した後、時間の経過に伴って減少する傾向にあることを見いだした。全国の16病院のMRSA保菌患者収容病室を使用して殺菌力を統計的に調べた。343ヵ所について処理を行い,5日後に2回目の処理を行なった結果,有意で殺菌効果が認められた。また, 125ヵ所の同一測定ポイントにおいて調べた結果でも有意で殺菌効果が認められた。さらに,定期清掃による長期間の清浄効果を調べた結果,N病院ではほぼ使用前の10%以下に検出菌数や検出率が抑えられ,K病院では3ヵ月で検出菌数が激減し,6ヵ月以降はほぼ0に近い状態となった。


   樹木心材成分の生理活性と生成
坂井克己 : 木材学会誌 50(3), 131-138 (2004) [総説]

 本稿の前半では,熱帯産樹木心材の生理活性の例として,Artocarpus incisus(パンノキ)心材の抗チロシナーゼ活性及びShorea属心材の5&alpha-レダクターゼ阻害活性を持つ成分について述べる。前者の成分はスチルベノイド及びフラボノイドに属するものが多く, 2,4-dihydroxyphenyl骨格が活性に強く寄与することが示された。後者の化学構造に学んで, resveratrolの酵素的脱水素重合により天然物に勝る活性を持つ化合物が得られた。
 後半では,殆どのヒノキ科樹木の心材に含まれてその耐久性を支えるのみならず,化粧品,食品,抗菌繊維等に広く用いられているヒノキチオール(β-thujaplicin)の培養細胞による生成について述べる。Cupressus lusitanica細胞培養によるヒノキチオール生産の条件,エリシターシグナルの伝達系,生合成経路などについて主に我々の研究を紹介する。